以前のホームには20gばねのLM筐体があり,IIDXをプレーするときはいつもその筐体でプレーしていました.しかし,昨今のゲームセンター閉店ラッシュや20gばね筐体の減少から「いつまでも20gばねの環境でプレーできないかもしれないな」と思い,RESIDENTの稼働中盤あたりから50gばねの環境へ(苦痛を伴いながら)移行しました.
最近は50g : 20gが9 : 1程度の割合で遊んでいますが,20gに触った後に50gでの遊び方がわからなくなる現象が頻発します.この現象への対策として,20gから50gへの移行時における試行錯誤を流用していますが,記憶も薄れてきたためここに備忘録を残します.
20g→50g移行のモチベーション
大前提として,20gのほうが圧倒的にプレーしやすいです.この前提に対し得られる報酬が「LM筐体ならどこでもプレーできるようになる」では,モチベーションとして比較的弱いように思えます.ただ,当時は自宅周辺のゲームセンター数の減少や旧筐体の(実質的な)切り捨てなどにより,上記報酬がモチベーションたり得ました.また,20gのLM筐体を選択的にプレーするSPerも観測範囲では多く,待ち時間を減らす目的もありました.昨今は20gばねも増えてきていますし,そこまでモチベートされない気がします.やりませんが,現ホームでも私がお願いすれば20gに替えてくれそうな雰囲気はあります.
移行のゴール
理想のゴールは「20gばねでてきていたことを50gでもできるようにする」です.潤沢なリソース(金銭的/時間的)があればこのゴールも達成可能かもしれませんが,現実的ではありません.「今後は50gだけでプレーする」というわけではないので,各ばねと譜面要素の相性を見て,50gばねと相性の悪い譜面要素は今回の移行のスコープ外としました.私が考える「各ばねと譜面要素の相性*1」を以下に示します.
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20gばねと相性が良い譜面要素
…ボタンを真上から叩かなくても反応するため,苦しい体勢や運指を求められる譜面と相性が良いです.
例;高速混色階段,自由度の低い同時押し,鍵盤着地
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20gばねと50gばねで同程度の相性を持つ譜面要素
…ボタンを真上から叩ける譜面要素は,どちらのばねとも同程度の相性です.
例;乱打,自由度の高い同時押し,縦連
- 50gばねと相性が良い譜面要素
…ありません.
抽象的すぎる上にMECE感も全く無いダメダメ分類ですが,上記1.は50gでプレーすることを諦めました.具体的な譜面を挙げると,Mare Nectaris / EROICA / Almagestあたりです.以上を踏まえて,上記2.に当たる譜面について,前作CastHourの自己ベスト相当以上のスコアを出せるをゴールとして設定しました.
なぜ50gでミスをするのか?の要因分析と対策案
まずは50gでミスをする要因を分析しました.実際に50gばねでプレーし,ミスをするパターンを確認したところ,「指の移動が間に合わない」と「ボタンを押下できない」の2パターンが確認できました(それぞれ「横の動き」「縦の動き」と考えるとそれっぽいですね).そこで,それぞれのパターンについて要因分析と対策立案を実施しました.
指の移動が間に合わないパターン
このパターンには,「指くぐらせや北斗など物理的な指の移動が間に合わないケース」と「高速同色階段など,物理的な移動は無いが力をいれる指を変える=力の移動が間に合わないケース」が存在しました.前者はボタン押下/解放に時間がかかっており,後者は脳内の情報処理が遅れているものと思われます.(指を速く動かすためには,より多くの神経細胞を活性化する必要があるようです*2.ピアニストは少ない神経細胞でも指を高速に動かせる「省エネ」が可能らしいですが,その技能の獲得には時間がかかるためここでは別の方法を検討します.)
上記要因を下に対策を検討すると,結局は「50g用の脱力を身につける」というあまりに退屈な対策案を挙げざるを得ませんでした.ただ,「50g用の」という部分がポイントで,20gでの脱力とは考え方を変える必要がありました.20gなら指の重さだけでボタン押下が可能なため,「どれだけ素早く力を抜くか」を考えるべきですが,50gでは意図的にボタンを押し込まなければ反応しないため,「どれだけ小さい力で押すか」を考える必要がありました.以上の考察をもとに,私が実施した対策/練習は以下の通りです.
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打鍵音が聞こえないくらいの力でプレーする
脱力して押せる状態とは,①ボタンの反応に必要な最低限の力より大きく,②指や力の移動速度を損ねない最大の力 という①~②の範囲で打鍵できている状態だと考えました.②は必要な指や力の速度によって変化するため,①の力を身体に覚え込ませることにしました.
腕押ししがちな☆9からついつい力が入ってしまう☆12まで,「打鍵音が聞こえない程度の力」でプレーしました.これによりほぼ①の力で打鍵できますし,そのための身体の使い方を身につけることができました.実際に試してみると,特に北斗をするときに打鍵音が出てしまうことが多かったです.鍵盤間の移動で気持ちが急いてしまい,助走として強く打鍵してしまうようでした.そこで,~☆10のS乱も取り入れて一定のリズムかつ最低限の力で打鍵する練習を実施しました. -
指の移動を伴わない運指を覚える
私は指を開く動きが苦手で,特に2P側5鍵→6鍵を薬指の北斗で取ろうとして遅れる/取りこぼすことが多くありました(1P側も同様).そこで,中6を習得しました.
運指の練習方法は割愛しますが,中6を使う際は手首を内側に寄せると押しやすいです.私は小5を多用するため手首が内側によっていることが多く,中6を導入しやすかったです.
ちなみに,私の運指の運用方法は以下のとおりです.(以下全て2P側の話です)- 親3:23を含み,1を含まない同時押し/2,3,4を含む階段配置
- 親5:56トリルや56を含む往復階段
- 小5:56を含み,7を含まない同時押し
- 中6:5→6など,1→7方向の階段系配置
- 中5/中3: 567もしくは123を含む同時押し
- 北斗:上記運指で対応できない配置
ボタンを押下できないパターン
このパターンには,「ボタンから指が滑り落ちるケース」と「ボタンを押下する力が足りないケース」が存在しました.両者ともに「指が発生する力」と「ボタンの動く方向」がズレていることに起因するケースでしたので,指が発生する力の方向を制御する方法を考えました.対策と練習方法は以下のとおりです.
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手先の自由度が高い姿勢でプレーする
体の負担軽減のため,以前は直立姿勢でプレーしていました.しかし,この姿勢ではプレーするとほぼ腕を伸ばしきった状態で打鍵するため,手先の姿勢が限られてしまいます(特異点付近のロボットアームを想像するとわかりやすいかもしれません).そこで,軽く背中を丸める・腰を僅かに落とすことで手先を制御しやすい姿勢でのプレーに切り替えました.
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指を立ててプレーする
前述の姿勢を改善すると,手のひらと鍵盤の距離を取るのが比較的楽になります.手のひらと鍵盤の距離を取ると自ずと指が立ち,指を伸ばしきった状態より指先の姿勢の自由度が上がります.力の制御もしやすくなるため,指が常に曲がった状態でプレーをするようにしました.
効果測定と振り返り
勢いよくゴールを設定したものの,効果測定をきちんとしないのは私の悪い癖だとつくづく思います. RESIDENTでは☆12をほぼ全曲*3プレーし,スコープ内外含めて歴代自己ベストを出した記憶があり,なあなあで移行完了としてしまいました.
移行時に最も苦労した点は,モチベーションの維持です.自己ベストに遠く及ばないスコアを出し続けるのは心に来るものがあります.幸いにもスコア力の練習に熱中していた時期と被っていたため,練習を継続することができました.また,上記対策の中で最も効果があったのは姿勢の見直しです.この対策は移行の後期に思いついたのですが,中5や脱力のやりやすさが2段階は上がりました.ただ,肩への負担は大きくなったため,プレー後の念入りなストレッチが必要になりました.
異なるばねの筐体間を移動するときに意識すること
50gへの移行が完了した現在でも,20gばねと50gばねの筐体を行ったり来たりしているとプレー姿勢や脱力の仕方を混同することがあります.プレーしながら徐々に感覚を思い出すのは非効率的ですので,筐体間を移動するときに意識することを整理します.
20g→50g移動時
- 脱力:指を落とす
- 姿勢:手のひらを少し持ち上げ,手のひらと鍵盤の距離を取る
- 打鍵:指を立てて鍵盤と垂直に動かす
50g→20g移動時
- 脱力:ボタンを最小の力で押し込む
- 姿勢:手のひらを少し落とし,指の腹や関節でボタンを押せる姿勢を取る
- 打鍵:指を寝かせて指の移動距離を最小にする
おわりに
50gに適応する練習をしなければ,今頃は未難10以下だったんじゃないかと思います.ただ,出張先でサラッと遊べたり待ち時間を減らせたことは,サラリーマンのビートマニアプレイヤーとして非常に嬉しいことです.また,今後の練習時間を最大化できると考えれば,全体最適は実現できているのかもしれません.
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